普通免許取得一発試験70日間奮闘記 その13

2023/09/22

一発試験 運転免許

t f B! P L

ついに最後の関門へ。

このクルマで車庫入れができれば……?

XX日目 本免技能試験2回目 (続)

場内試験

後部座席に店長を乗せて、ラスボス試験官の運転する試験車は待合所の前から試験場内のコースへと進んでいきます。

--とうとう最後の課題……ここまで辿り着けたのは嬉しいけど……うーんやっぱり緊張する……

本免試験2回目にして場内課題に進めたのは上出来でしたが、店長が一番不安だったのは実はこの場内課題だったのです。というのも、場内課題の方向転換も縦列駐車も、ちゃんとコースで練習したのは埼玉でやった路上練習の初回とその次の2回のみ。それ以降は、ししまる号での自宅付近での練習で、公園の駐車場や自宅の車庫でバックの練習はやったものの、試験の形式に沿った課題の練習はしていなかったのです。埼玉での練習でも、その課題の対策ばかりをやっていたわけではなく、むしろメインは路上運転で、課題の練習はその日の最後にオマケ程度にやったくらい。右変換、左変換、縦列と、3種類とも一通りは練習しましたが、当然ながら最初からうまくできるわけもなく、「何度か失敗しながらなんとかクリアできる」という、自信を持つには程遠い状態で本番に臨んでしまったのでした。いまの時点では、経験不足を知識でカバーするしかない、と、待ち時間はずっと教本の該当箇所をひたすら読み込み、せめての足しにとイメージトレーニングに励んだ店長でしたが……

コースに入ってすぐに、ラスボスは試験車を停めて説明します。

方向変換です。ここで運転を交代します。前に見える⚪︎番の道に入って、バックで方向転換して同じところから出てきてください」

指し示されたコースは、向かって右側に窪みのある通路でした。右バックの方向変換。個人差はあるものの、一般的には右変換、左変換、縦列の順に難易度が上がると言われていますが、店長にとっても右変換は3つの中で一番マシな課題です。これはかなりラッキー。

--持ち点、あとどのくらい残ってるだろう……いや、どのみち減点されるようなミスをすればたぶんリカバリできない。減点されたらアウトって思ったほうがいいか……

本免技能試験は、路上試験が終わった時点で持ち点が合格ラインである70点以上残っていなければ場内試験に進めません。さらに、その点数は場内試験にも持ち越されます。提示された課題がクリアできなければもちろん不合格ですが、場内課題の履行時にもそれまでの試験同様と同様に減点細目は適用されるので、場内試験の最中に減点超過となれば課題の成否にかかわらず不合格になります。

実際に本免の場内課題の時に適用されうる減点細目としては、車輪が縁石に接触する(または乗り上げる)「脱輪」、車体がポールにあたってしまう「接触」、バック直前およびバック中の確認をしていない「安全不確認」、そして「切り返し」といったところでしょう。場内の「切り返し」は仮免技能のS字、クランクと同様で、1回だけなら減点なし、2回目と3回目はそれぞれ5点減点、4回やった時点で「通過不能」で試験中止です。

--ま、これぞまさに「ダメでもともと」ってヤツだーね。ともあれ、いまできる限りのことはやって帰る! 最後まで気を抜かずに集中せにゃ。

運転席に座り、発進準備を整え、最後の関門に向かって発進。方向変換コースに入る前からもう緊張しまくりの店長ですが、実は方向変換はコースの中に入る前と出たあとは採点対象外ですよ。この時点でそんなこと気にする必要もないですが。

まずはコースに進入。ゆっくり進んでバックで入れる位置を見て把握しつつ、バックできる長さが作れるまで、両脇に空間を保ちながら直進。

十分な位置にまで進んだら進行を停めて、バックに入る前にミラーと直接目視で後方および周囲の確認。確認ができたらギアを変えて後退開始。

右サイドミラーでタイヤと縁石の位置を確認しながらゆっくりとハンドル操作してカーブの調整。タイヤが縁石に触れたら減点、よく見て……けど左前にも注意して……

--あちゃー、ちょっとハンドル遅かったかな。当たりはしないけど結構離れちゃったな……

窪みに車体が収まるようにハンドル戻して、ゆっくりそのまま後退。方向変換は縦列駐車と違って規程の位置に車体を収めることはしなくてよいので、前に出られる余地の分だけバックすればよし。バックしすぎてポールに当てたら減点、バックしている最中も周囲の目視確認しないと減点……

--うーん、左にギリギリ出られ……ないかもなコレ……いってみるか……いや、幅寄せしとこう。1回なら減点されないし。ここは慎重に……

ギア入れ直して前に出ながら少し右に寄せて、またギア変えて、動く前に忘れちゃいけない目視確認、済んだらまたゆっくり後退……

シャッ!!

幅寄せをするやいなやラスボスが成績表に何かを書き込むペンの音。

--筆圧強すぎやしません? さっきの路上試験の時からそうだったけど。何か他意がおありで?

考えたところで詮のないこと。いまはとにかく無事にクルマを出すことです。自宅の車庫入れで幅寄せはさんざんやっていたので問題なく完了。危なげない位置まで後退もできました。

--さーて、あとは単純に左折して出るだけ。けど油断してると仮免試験の時みたいにまた内輪差で後輪が縁石にあたるかも……ハンドル捌きのタイミング気をつけて、ゆっくり……

慎重になりすぎた店長、またハンドルを切るのが遅くなってしまい、後輪は余裕だけど右前がギリギリに……

--うわっと、結構きわどいな……けどコレならギリギリなんとか通れるはず。どのみちもう減点されるから下がれない、行くっきゃない! 

かくて。

店長が思い切り左にハンドルを切った試験車はなんとか前方に当たることなく向きを変え、無事に入ってきた通路へ戻ったのでした。

--で、できた……終わった……

試験終了です。元の場所で停車してください」

この上なく淡々としたラスボスの言葉が告げられました。

試験結果

コース内で運転を交代して、ラスボスの運転する試験車が待合所まで戻ってきました。毎度のように、ラスボスは運転中に何もしゃべりません。

--「試験終了」ってのは、単に試験を終わりにするってだけで、不合格って意味じゃないよね……いままでも試験が終わる時はそう言ってたし……方向変換、幅寄せはしたけど1回だけだし……けど他に何か落ち度があったかな……

一層不安を募らせる店長を気に掛けることもなく、試験者から降りたラスボスは待合所に入るよう促します。二人が待合所の中でカウンター越しに向かい合うと、ラスボスはこれまた淡々と告げました。

「今回、合格とします

「あ、ありがとうございます!」

「今回で本免の試験は何回目ですか」

店長が合格の喜びを噛み締める間もなく、ラスボスは淡々と質問を続けます。

--本人確認の質問かな。仮免技能に受かった時も聞かれたっけ。

「2回です」

「住所の番号の部分だけ言ってください」

普段から覚えていることでも、「真ん中から」とかアレンジされるととっさに出てこなくなるものです。緊張しているところにいきなりだったらなおのこと。丸暗記したフレーズを確認するように、店長は住所のアタマから口に出して言いました。

「えーっと、東京都⚪︎⚪︎区△△……」

「番号の部分だけ!」

--うっわ、こっわ。

「すみません! えっと、⚪︎の⚪︎⚪︎の⚪︎⚪︎……」

こんな調子でこれまでにないほど冷淡なやり取りが続きます。電話番号の下4ケタや生年月日など、本人確認の問答が一通り終わると、ラスボスは「合格予定者票」と書かれた手のひらくらいの書面を店長に渡してきました。

「この紙を持って3階の38番窓口に言って手続きしたあと、その向かいにあるベンチで待っていてください」

「……ありがとうございます」

そう言って店長が書面を受け取ると、ラスボスはさっさと立ち去っていきました。次の試験に向かったのでしょう。「合格」ということ以外、今回の試験の内容がどうであったかの言及はひとつもなく、さらにはこの後の流れについても「ベンチで待っていろ」というだけで時間の目安も何も教えてくれません。ましてや「おめでとう」などという労いの言葉なんてあるはずもない。前回に不合格だった時の講評のほうがまだ丁寧に話してくれていたほどです。仮免技能に合格した時のホトケ試験官さんの対応とあまりにもギャップが大きすぎたことも、ラスボスの印象を際立たせたのでした。

--僕が免許取るとアナタに何かヤなコトでもあるんですか?

試験後の手続き

とりあえず言われた通りに手続きを済ませる店長。所定の窓口へ行って書類を出したあと、側にある機械で任意の番号を入力したレシートのような札を発行します。そのあとは、指示された窓口前のベンチで待機。13時から始まった試験の2番手で合格した店長でしたが、この時点で14時半くらいでした。仮免技能合格時と同様に、試験合格者で即日免許証交付を受ける場合は17時くらいまでかかると事前に告知されています。それはいいとして、このベンチでの待機はいったい何時ごろまでなのか

--仮免の時のホトケ試験官さんは、だいたい何時くらいって教えてくれたのになー。いやー、ホトケが特殊なのかもしれないけどラスボスも両極端に相当だわ。ま、とにかくラスボスの受け持ちであと2人受験者がいたし、少なくとも1時間以上は待機だな……

ベンチに座って一息ついて、店長もようやく合格の実感が湧いてきました。スマホでヌシ様にご報告を送信。さほど間を開けずに、合格を祝う返信が送られてきました。ヌシ様も練習に付き合わされましたしね。お疲れ様でした。運転についてはこれからいろいろと経験を積んでいかなければならないのですが、とにかくこれで練習や勉強、なにより試験日の調整から解放されたと思うと、店長は本当に晴れやかな気持ちになりました。

座っているのはあの「3階38番窓口」の目の前のベンチです。仮免技能でも本免技能でも、不合格のたびにあの予約機に行ってはやるせない気持ちで当面の期間が埋まった予約機のカレンダーを見つめていた……いまも、神妙な面持ちで予約機に向かう受験者が目の前を通っていきます。自分もやってた、もうやらなくていいんだ……無言で受験者の背中を見つめる店長の心は穏やかです。何につけてもそうであるような、「もう終わらせた者」が持つ優越。

しばらく待機していると、試験の時に待合所で見かけた青年が窓口にやってきました。手には合格予定者票を持っているし、窓口の職員さんとの会話からしても、彼も合格したようです。青年はアジア系の外国人のようで日本語があまり得意でないらしく、職員さんとのやりとりも片言で難航。番号札の発行機で困っていたので、ロクに話せない英語で店長が手伝ってあげました。その流れで二人は少し雑談を交わしたのですが、店長よりもずっと若いであろうこのアジア人青年、本免技能は今回3回目でクリア、仮免技能については5回受けたそうです。当人の能力そのものの他に、学習環境や練習環境、また運転経験の有無など、もろもろの個人差はありますが、この青年もそれだけ回数を重ねての合格だったとのこと、店長は割と早く受かった方なのかもしれません。

またしばらくすると、もうひとり、女性の合格者が来て、店長たちと同じようにベンチで待機していました。店長と雑談を交わした青年も、そもそもお互いロクに英語が話せないこともあって会話は早々に終わり、3人とも無言でそれぞれスマホを見たりして時間を過ごしています。そしてもうすぐ16時になろうかというころ、ラスボス試験官が現れました。店長がその姿を見て立ち上がると、店長に一緒に来るように言い、そのまま足を止めず歩いていきます。どうやら他の2名は別の試験官の受験者だったようで、ラスボスの担当で合格したのは店長だけだった模様。

無言で進むラスボスに着いていき、案内された窓口で言われるがままに免許証交付手数料2,050円をお支払い。ここも電子マネーでピピッと。その後、2階の技能試験室へ案内されました。この技能試験室も38番窓口同様に見慣れた場所です。再び待機しているようにと告げたあと、ラスボスは去っていき、これでお別れとなりました。ラスボス撃破。最後の最後の最後まで淡々とした人でした。

--やっぱ僕が免許取るとアナタに何かヤなコトあるんですね?

事務作業増えるとか、帰るのが遅くなるとかでしょうか。そうは言っても、試験してくれて合格を出してくれたのがラスボス試験官さんであることは事実。ありがとうラスボス。

さぁ、あともう少しでエンディングです。

免許証交付!

待機しているように言われた技能試験室には、普通免許だけでなく他の免許種別の試験合格者も待機しているようでした。試験から解放されたせいか皆さん明るい雰囲気で、仲良くおしゃべりしている人たちもいます。さきほどベンチで一緒に待っていた2人も、別の試験官に連れられて入ってきました。

しばらく待っていると、職員の方が何名か入ってきて、免許種別ごとに集められます。名前や仮免許証を確認されてそれぞれに書類が渡されてから、このあと免許用の写真撮影をして、手元の書類と引き換えに免許証が渡される旨を説明されました。

そのまま写真撮影に進みます。店長もウワサには聞いていた「誰もが超絶ブサイクに写る」と評判の免許証写真撮影。多少は気にしたものの、「どう写そうと汚いロン毛のヒゲ面メガネが写るだけ」と開き直り。汚さは人を潔くさせるようです。でもメガネは外して撮ってもいいんだよ店長。あ、そっか、メガネがあろうとなかろうと「汚いロン毛のヒゲ面」は変わらないのか、そっかそっか。

撮られた写真はなんでか顔が若干傾いていて、「コレはコレでいいんだろうか」と店長は思いましたが、自分で撮ったのでなく試験場の職員の人が撮ってOKを出したんだからもうきっとコレでいいのでしょう。

写真を撮り終わると、今度はまた別室、「出来上がった免許証を受け取るための部屋」に案内されます。この時、一発試験に合格して新規に交付されるのは店長含めて7、8人程度でしたが、更新などで免許証受け取りを待つ人はもっと大勢いて、その大きな部屋には壁沿いの長いベンチの他、イスが数十脚は並べられていました。店長ら新規組は出来上がるのに時間がかかるようで、部屋に通されてから、他に免許を受け取る集団を何組か見送りました。

30分以上待ったでしょうか。ようやく一発試験合格者の番号が呼ばれ、順番に、手元の書類と引き換えに免許証を受け取りました。店長、普通免許取得を目指してから70日目、とうとう免許証交付です。

初回の免許証は帯がグリーン。

試験を終えて……

17時少し前に、もう当面は来ることもないであろう試験場をあとにした店長。慣れてきたバス、電車を乗り継いで地元の駅に帰ると、ヌシ様がししまるを連れてお出迎えしてくれました。14時過ぎに合格の一報を受けたヌシ様は、早めに仕事を切り上げて合格のお祝いに飲み会を催してくれたのです。

「おめでとうー」
「おつかれさまー」
ししまるの光る首輪が若葉マークの2色。ヌシ様、うまい演出ですね。

埼玉の練習場での練習、仮免技能試験、ししまる号での路上練習、特定講習に本免の技能試験。振り返れば70日間という、そう長くもない間の出来事でしたが、店長にとって、そしてヌシ様にとっても、結構濃密な日々でした。その思い出をおもしろおかしく語りつつ、飲みすぎる程度にまで飲み散らかしましたとさ。めでたしめでたし。

くれぐれも事故を起こしませんように。

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東京生まれ、東京育ち。 いまもヌシ様、ししまると一緒に都内のマンションで2人と1匹暮らし。 炊事と機械設備担当。

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