普通免許取得一発試験70日間奮闘記 その11

2023/09/12

一発試験 運転免許

t f B! P L

本免技能試験、いよいよ路上へ。

路上練習5回中3回はコレで練習しました。

59日目 本免技能試験 (続)

本免技能試験の内容

一発試験の本免技能試験は、指定教習所の卒業検定と同じものです。

本免の技能試験も、仮免の技能試験と同じく持ち点100点からの減点方式で、普通免許は70点以上で合格です。減点の項目も仮免技能とおおむね同じ、ただし路上(本免)と場内(仮免)で減点数が違ったりします(たとえば交差点での進路変更違反は場内なら5点減点だけど路上だと10点減点)。

仮免技能は場内コースだけで試験しますが、本免技能は「路上+場内」の2段階構成になっていて、路上試験終了時点で減点超過含めて不合格になっていない場合のみ、場内試験に進むことができ、場内試験終了時点でも持ち点が70点以上であれば晴れて合格となります。

S字やクランク、坂道発進などの課題要素が多い仮免技能に比べて、本免技能の課題は割とシンプル。普通車の場合、「信号通過又は一時停止」を1回以上、「右折・左折」をそれぞれ2回以上、横断歩道の通過を2回以上、「路端への停車及び発進」が1回で、走行距離が4500メートル以上となっています。街中を4.5キロ、右左あわせて4回曲がって走っていればイヤでも信号や横断歩道に出くわしますから、実質的な要素としては「右折・左折」と「停車」くらいなモンでしょう。そしてもちろん交通ルールに沿った法規走行は必須で事細かに減点項目に盛り込まれています。速度制限や進行方向規制はもちろん、実社会ではスルーされがちなルールも厳しくチェックされます。たとえば、横断歩道を通過する際に近くに歩行者がいる場合には、実際に渡ろうとしていなくても、停止線で止まれるくらいの速度まで減速しなければ「横断者保護違反」で20点の減点です。本来はこのくらい安全に運転しなければならないということですね。実際には信号のない横断歩道なんて歩行者が渡ろうと待っていたって止まってくれるクルマのほうが少ないですけど(悪い例)。

路上をクリアしたあとの場内の課題は、「方向変換」か「縦列駐車」どちらかをランダムで試験されます。もっと詳しく言うと「右バックの方向変換」、「左バックの方向変換」、「縦列駐車」の3つからどれか1つが出題されるということになります。どれが出されるかは、本番までわかりません。なので、どれもすべてこなせるようにしておくことが理想です。理想

ラスボスと試験車両へ

先発組の試験車が出て行ってから1時間ほど経ったでしょうか、待合所の前まで試験車が戻ってきました。路上をクリアした人がいれば、そのまま場内の試験に進むんだろうな、と店長が眺めていると、ほどなくして例の試験官さんが店長と、その前の3番手の女性受験者に出てくるように言ってきました。

荷物を持って二人が待合所を出ると、試験官が試験車のトランクを開けて荷物を積むようにと言います。言われるがままに二人はそれぞれの手荷物をトランクのカゴの中に入れました。

「……仮免許証や成績表、試験する時に必要ですよ」

二人とも書類ごと手荷物を丸ごとトランクに入れようとしたのを見て試験官が淡々と言い放ちます。慌てて書類を取り出す二人。

「……試験を始めるので車に乗っていてください」

--えっと、車に乗るって……二人とも後部座席? それとも3番手の彼女は運転席? どっから試験するんだろ……

店長も3番手さんも、無言のまま少し戸惑ったような様子を見せました。が……

「……さっき説明があった通りです」

それだけ言って試験官は待合所に入っていってしまいました。声を荒げたりすることはなく、どちらかといえばやや声が小さいくらいですが、その身ぶり口ぶりは店長の書類不備の時と同様にかなり冷淡です。しかしこのラスボスを倒さねばエンディングが迎えられない。相手にとって不足なし。最後の試練として上等です。いや倒しちゃダメですけど。

「……これって、ふたりともうしろの席に乗ってればいいんですかね……すみません僕さっき書類不備があったせいで説明をちゃんと聞けてなくて……」

「あ、アタシもはっきりわからないんですけど……たぶん、うしろでいいんだと思います……」

確信がないまま後部座席に乗り込んでシートベルトをして待つ二人。ほどなくして試験官が無言で運転席に乗り込んできました。とりあえずは正解だったようです。

「では、試験する場所まで移動します」

『……よろしくお願いします』

ラスボス試験官が運転する試験車が試験場を出発しました。

前走者さんの走行

試験場からそんなに走らないうちに試験官は試験車を停め、店長の前走者になる3番手さんと運転を交代して試験が始まりました。

仮免技能と違って前走者と自分が同じコースを走るわけではないから、走行順が先でも後でもあまり影響はないですが、それでもやはり自分の前に走る受験者がいたほうが気持ちも落ち着くし多少の勉強にもなります。本免技能は当然ながら仮免技能をクリアした受験者が受けにきているので受験者はみんな一定以上の運転技術があり、ネットでは「仮免技能よりも本免技能のほうが受かりやすい」とのウワサも見受けられるくらいですが、今回の前走者さんは店長が過去に同乗した受験者の中でもダントツに運転が上手でした。実際、仮免技能試験3回で同乗した前走者たちはみんな仮免不合格になっていったのですが。

緊張していた様子の前走者さんですが、発進準備から発進、進路変更、交差点での左折などなど、指示器操作も目視確認もハンドルさばきもかなりスムーズです。加速、減速も無理がありません。

課題の路端停車。停車指示が出されたところは直近にバス停があるというヒッカケ問題で、前走者さんバス停前で左寄せしてしまうもヒッカケに気付き、寄せたまましばらく進んでバス停から十分離れたところで停車。位置も問題なくキレイに止まっているし、発進も問題なく順調です。

もう結構な距離を走ったようだけど、店長が見ていたところ何も問題はなさそうだし、ラスボス試験官のペンもそんなに動いた様子がありません。

--コレはきっと合格なんだろなー。いいなー。自分の時もこれくらい落ち着いて運転できるといいんだけど……

前走者さんの上手な運転を見て店長もなんだか緊張がほぐれ、彼女の運転にあやかりたいなんてことをぼんやりと思っていたあたりで、突然に状況が一変しました。なんてことはない片側一車線の道だったのですが、前方に路端で停車しているトラックがあったのです。前走者さんも当然トラックに気づいて、少しスピードを緩めて近づいて、ハンドルを右に切ったのですが……

--えっ、振り幅が甘くない? コレじゃギリギリか、それか……

近いよっ!!

店長も危ないと感じた次の瞬間、ラスボス試験官が声を張り上げながら手を伸ばして前走者さんが握っているハンドルをつかみ、右に回しました。

本当に一瞬の出来事でしたが、試験車はトラックを回避してそのまま進行し、対向車もはるか遠くにいただけだったので試験車は何事もなく元のレーンに復帰しました。ですが……

--あちゃー……終わっちゃったね……

前走者さん、試験官補助が入ってしまったためこの時点で持ち点に関わらず試験中止、つまり不合格です。それまであんなに順調だったのに、残念……しかし、それまでは淡々と小さめの声で話していたラスボス試験官があんな大声を出して補助してきたのですから、本当にギリギリだったのでしょう。

ほどなくして前走者さんの試験は終わり、路上で運転を交代して店長の試験に入ったのでした。

店長の本免路上試験

店長の番です。それまで、すごく上手な前走者さんの運転に感心してなぜか緊張も解けてきていた店長でしたが、最後の試験官補助のシーンで一気に緊張が高まってしまいました。前の人がどう走ろうと自身が合格できる走行をすればいいだけのことなのですが、「言うは易く行うは難し」で、そもそも自信満々で受けにきたというワケでもないからなおさらモロにあおりを食らっています。発進時点からサイドブレーキ解除を忘れていて指摘されるというミス。スタート地点でのミスなのでおそらく減点はないと思われますが心証は悪いです。

その後は、緊張しながらも落ち着いた走行ができ、路端停車課題も問題なくクリア。しかし後半に入って、緊張が続いたせいかはたまた必要な緊張が解けてしまったのか、痛いミスを連発します。

まず速度制限。交差点を曲がって道幅が変わり、「これは特定講習の先生に教わったとおり制限速度が変わるのでは……?」と思って標識を探しながら走っていた店長、「30」の規制標識を見つけたのと、クルマの速度が時速35キロに達したのと、ラスボスが「速度落としてください」と言ったのとがどれもほぼ同じでした。曲がった時点でもっとスピードを緩めておけばよかったのに……「速度超過」、20点減点です。デカい。

そして通行帯違反。これも交差点を左折したあとだったのですが、曲がった直後、車線の多い幹線道路で、本来ならば左折したあとそのまま一番左のレーンを走らなければいけないのに、前に車両かなにかがあったのか、通行帯の白線がかすれていたからか、とにかく判断を誤って進路を左レーンにとらなかった上に、中途半端に悩んでしまった結果レーンをまたがって走ってしまいました。「どっちかに寄らなきゃマズい!」と店長が思ったその時に、ラスボスから「どこ走ってんですか」と痛恨の一撃「通行帯違反」で10点減点、もし進路変更違反や右左折方法違反も適用されていればさらに減点です。

そのほかにも、入り組んだ交差点での進行で早く進めるようにラスボスから指摘されたり、最後の停車でウインカー忘れがあったりと、大なり小なりミスを重ねてしまったのでした。

講評

店長の試験走行も終わり、路上でラスボスに運転を変わって試験車が試験場に戻ってきました。この時点でも細かいことは何も説明してくれないラスボス、二人に荷物を持って待合所に入るようにとだけ言います。

そして待合所の中で順番に講評。先に受けた前走者さんの講評が店長の耳に聞こえてきましたが、やはり例の補助が入ったところについて主に指摘されているようです。店長の番になり、ラスボス試験官、開口一番「今回は減点超過で不合格です」。あぁやっぱり。

「前に免許を持ってたことあります?」

「……? いえ、ないです。今回が初めての試験ですけど……?」

「そうですか。今回よくなかったのは、あの左折からのレーンまたぎで走ってしまったところです。左折したら、そのまま左レーン走らなきゃいけないのに、大きく回って走っちゃいましたよね。アレはやっちゃダメです。あと、試験の最後に停める時も、ウインカー出さずにクルマを寄せちゃってましたよね。そういうところで、前に運転していた経験があったのかなと思って聞いたんです。ただ運転できるだけじゃなくて、基本的なルールを守った運転をしないとダメですよ。

 あと、速度規制ですね。標識探していたけど、ああいう時に、いきなり前から飛び出しがきたりしてぶつかっちゃう、というようなこともあるので、スピードの出し過ぎにも気をつけて走ってください」

ラスボス試験官は、それまでの冷淡さとは一転してアドバイスをくれました。すごく親切で丁寧で、という訳ではないのですが、それまでの厳しさ冷たさを思うとぬるま湯に感じるほどです。

ひと通り説明したあと、ラスボスは言いました。

「では、3階38番窓口で予約取って帰ってください」

もう行きたくない窓口です。

驚愕の次回予約

初回だから仕方ないと自分を慰めつつ、38番窓口の予約機に着いた店長。予約カードを差し込み、画面に表示されたカレンダーを見て、何かの間違いかと日付を見直しますが、どうやら表示は何も間違っていない模様……

--直近の試験日、40日後!!!!?

この時点で7月中旬。「試験場はもう繁忙期に入っている」という話は、特定講習でも耳にしたし、本免学科試験を受けた際にも、職員の人が「繁忙期のため学科試験の受け入れも午前と午後どちらか1回だけの制限がかかり始める」と言っていたので店長も認識はしていました。それにしても1ヶ月どころか40日も空きがないとは。次の受験はお盆明けに……

ただでさえ再試験で気が重いというのに、ひと月以上先まで試験が受けられないなんて……受かりやすいとされている本免試験で、なぜ今回でパスできなかったんだろうか……これまでの不合格の時より輪をかけてやるせない気持ちで、店長は帰っていったのでした……

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東京生まれ、東京育ち。 いまもヌシ様、ししまると一緒に都内のマンションで2人と1匹暮らし。 炊事と機械設備担当。

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