特定講習、そして本免技能試験。
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高速デビュー。 |
57日目 特定講習受講
ココにしてホントによかった!
さあ特定講習です。「その8」でも書いたように、本免技能試験合格者は試験合格後に予約を取って「取得時講習」を受けないと免許証が交付されませんが、事前に特定講習を受けておいてその修了証を技能試験時に持っていくと、技能試験合格した当日に免許証が受け取れるというメリットがあるので先に済ませておくこと一択の要素です。なぜか試験場で渡される資料などでは一切触れられていないのですが、本免技能試験受験者はみなさん特定講習の修了証を持ってきているし、試験の際に職員さんからも「講習の修了証も合わせて出してくださいねー」なんて説明されたりするし、やっぱり先に済ませておくこと一択です。有効期限ありますが1年間ですし。
なお、特定講習でも取得時講習でもどちらも有料です。取得時講習の場合には一律で15,400円(取得時講習11,200円+応急救護一種4,200円)と決められていますが、特定講習の場合は、開催している教習所で料金もマチマチな模様。店長が申し込んだところは応急救護含めて16,000円でした。ちゃりーん。ちなみにお医者さんや看護師さん、救急救命士の方など「応急救護できて当たり前ですよね?」という人は応急救護の講習が免除されて料金もその分だけお安くなります。店長には関係ナシ。
店長が今回選んだ教習所さんは、受講しているスクールから紹介されたうちの1つだったのですが、「高速教習をシミュレーターでなく実車でやってくれる」という点で選んだところでした。ウェブサイトを見る限り、あまり大きくない教習所の様子。予約の対応をしてくださったマネージャーの方は大変に印象の良い方でしたが、はてさてどんな教習になることやら……ドキドキしつつ約束の時間に教習所へお伺い。
東京都杉並区某所にある事務所に着いて、マネージャーさんと指導員さんとご挨拶。
--めちゃくちゃ優しいーーーー!!
おふたりとも、丁寧な説明、ほどよくくだけた語り口で、あっというまに緊張が解けていく店長。店長含めて受講生は3名で、午前中から始まって、昼休憩を挟んで18時前までの長丁場の講習でしたが、終始和やかに時間が過ぎていきました。高速講習、危険予測、応急救護と順番に進んで、無事に修了証をいただいて、特定講習受講完了です。
講習で教わったこと
指導員の方は長いこと指定教習所にお勤めだったとのことで、実際に技能試験の試験官として試験の対応をされていたので、試験にあたって「試験官がどこをどうみているか」などもいろいろと教えてくださり、店長も大変に勉強になったのでした。この時の受講者は店長含めて男性3名で、実車の運転教習は運転を交代しながらの受講。自身の運転でも他の受講者の運転でも、店長にとって学ぶものがあり、教習の内容面でも「この教習所の講習にしてよかった」と改めて思ったのでした。
いろんなことを教えてもらった店長ですが、その中からいくつかをご紹介。
「停車時の『寄せ』はとにかくゆっくりと!」
本免技能試験では、試験中に一旦路端に停車するという課題があり、また、試験終了時にも当然に停車しますが、この停車の際、道の端に車体を寄せるときにはとにかくスピードを落とせ、とのこと。「結構スピードがある状態で寄せに入った場合、私ら試験官は寄せ過ぎて危ないなと感じたらすぐに補助ブレーキをかけざるをないんです(*試験で試験官が補助ブレーキを使ったら即不合格)。だけど、ゆっくりで寄せていれば、多少寄せ過ぎであっても補助ブレーキをギリギリまでかけずに様子を見られるんですよ。ゆっくり寄せて減点になることはないので、寄せの時はゆっくりやったほうがいいですよ」
「道幅が変わったら速度制限に注意!」
危険予測講習での録画映像解析で、受講者の方のひとりが途中でスピードオーバーしていることを指摘されました。「この時、手前に速度規制標識があったんですが、見落としてしまったようですね。標識は本来、見やすいところに設置されているはずなんですが、実際には気づきにくい位置だったり、街路樹なんかで見づらくなっていることも多々あります。速度オーバーの減点は20点と大きいので、試験の時には見落とさないように。交差点で曲がった先の道がそれまで走っていた道と道幅が違ったり、速度制限で『ここまで』の標識があったりする時は、その先の制限速度が変わるので要注意です。また、試験の時、前の車に合わせて走っていると規制速度を超えてしまうことがあるので、やはり自分で気をつけていなければいけません。」
「発進時の目視確認は特に確実に!」
同じく録画映像解析で、店長が一時停車から発進する際、目視確認ができていないと指摘されました。「発進しようとして、一度確認して、後続車が来ているのを見送っていますが、その後、いざ発進しようとした直前では、目視確認せずに発進してしまっていますね。これは減点されてしまいます。目視確認は都度、確実にやりましょう。もちろん走行中の目視確認も必ずやらなければいけませんが、発進時は特に、試験官が注目しやすいので減点されやすいです」
「走行中の足の置き場に注意せよ!」
教習車で教習を受ける時、助手席に座っている試験官がどこを見ているか教えていただけました。「この助手席、だいぶうしろに引いてありますね。これは試験官がゆったりと座りたいから、ではもちろんなくて、運転席の足元が見える位置にしてあるんです。アクセルを踏まなければいけない時はもちろんアクセルペダルに足がかかりますが、アクセルを踏まない時にはブレーキペダル側に足を構えないといけません。受験者がブレーキ側で足を構えていない時には、試験官が補助ブレーキを使うタイミングも速くなってしまいます。また、試験を抜きにしても、すぐにブレーキが踏めるように運転することは安全運転のために大切です」
店長はこの講習を受けたことで、免許取得が近づいたと感じました。T先生、大変お世話になりました。
ちなみに、受講者のひとりの方は免許取得歴のある方で、再取得のために一発試験を受けているとのことでしたが、一発試験向けのスクールに通って仮免技能は1回でクリアだったそうです(しかもオートマでなくマニュアルで)。やっぱり運転技術が身についているかどうかは大きいんですね。
59日目 本免技能試験
ラスボス登場
とうとう最後の試験です。先日の特定講習の修了証と仮免許を忘れずに持って、また府中試験場へ。試験場に来るのも慣れたものです。また駅からのバスで自動車学校を試験場とカン違いして「前原町」で降りようとしてバスを止める粗忽者がいても気にしません。試験場についたらまずは毎度おなじみ手数料窓口でのお支払い。今回は本免技能初回なので車両手数料800円のみとお安いです。仮免試験よりも本免試験のほうが安いのは場内コースを使わないからなのでしょうか。ともあれピピッと。
仮免技能の時の集合場所は2階の技能試験室でしたが、本免技能になると集合場所が建物の外にある「路上試験待合所」になります。この待合所はコース開放を利用する時の集合場所でもあるので、店長はすでに来たことがあります。初めて来る場所でないというだけで多少緊張も和らぎます。
集合時間になって、職員の人たちも入ってきました。「それでは試験を始めますので、名前を呼ばれたら、書類を持って前の方に来てくださいねー」と職員の方から説明され、順番に書類を交換する受験者たち。試験にあたって、各自の受験票を試験で使う成績表と交換するのは仮免技能の時と同じですが、本免技能試験では受験票と一緒に仮免許証と「路上練習申告書」も提出する必要があります。どうやら今回は試験車が3台、試験官も3名のようで、自身の名前を呼んだ試験官に試験されるようです。店長が見たところ、3人のうち、真ん中の試験官が一番厳しそう。受験票交換の際も、ちょっと手間取っている受験者に、「書類、全部、出してください」とキツめの口調で対応しています。
--あー、あの人じゃなくて、隣のなんか和やかな雰囲気のおっちゃん試験官さんがいいなー……
そう店長が思っていた矢先、真ん中の厳しい試験官がまた別の受験者の書類について、厳しい口調で詰問しました。
「……この申告書の免許種別、ちゃんと書かれていませんよ」
「え……」
指摘されたのは学生くらいにみえる若い女性です。
「この免許は一種ですか、二種ですか」
「えっと……わからないんですが……」
「わからないって……コレはあなたの路上申告書ですよね。必要な事項をすべて記入してください」
淡々と告げる試験官さん。
「すみません……ちょっと電話で確認します……」
「すぐに記入できなければ今日は受験できませんよ。急いで確認してください」
--うっわ、こっわ。
慌てた顔で書類を持って外に飛び出す受験者さん。おそらくは、申告書に家族の免許証番号を書いたのでしょうが、免許種別を車種しか書かなかったのでしょう。タクシードライバーでもない限り、たいていの人が持っている運転免許は第一種免許です。だからこそ、書く側も書き漏らしてしまったのでしょうが、試験官さんの対応は傍目で見ていて気の毒になるほど突き放したような口調でした。言っていることは何一つ間違っていないし、裏を返せば「いますぐに不備を修正できるなら試験を受けさせてやる」と言っているのだから見ようによっては優しい対応と取れなくもないのですが……
しかしながら、彼女の書類に不備があったのもまた事実。気の毒ではあるけれど、書類の記入例には免許種別の欄に車種だけでなく一種二種の別まで書くように示されているので、今回の記入不備は彼女の不注意によるものです。
--試験を受ける前から試験は始まっている、ってね……すぐに確認が取れるといいね……
外で必死にスマホで通話している女子受講者を眺めていると、店長の名前も呼ばれました。残念ながら、右側の優しそうなおっちゃん試験官でなく、真ん中の厳しい試験官にです。
--うわぁ、あの試験官に当たっちゃった……いや、もしかしたら仮免技能の時の鬼試験官さんみたいに、怖そうだけど実は優しい人なのかもしんないし……
そんなことを考えつつ、書類を手渡す店長。申告書には、スクールのインストラクターさんが書いてくれた、さいたまでの練習2回分と、店長が書いたヌシ様との練習3回分、免許種別まですべてきちん書いてあります。先の彼女のように書類不備で心証を悪くするようなことはないはず……
「……この申告書の記載内容、おかしいですね」
--!!!!??
まさかの書類不備
「この3回目以降の免許証、『普通』と書いてありますが、免許証番号が普通車のものではないですよ。どちらかが間違っています」
「え……あ……」
「これ、自分でこの人の免許証、確認しました?」
「あ……」
まさかの落とし穴でした。実は店長、この申告書を書く時、ヌシ様の免許証を直接は見ていなかったのです。
コース開放を利用した時、「施設使用申請書」という書類を記入して提出したのですが、この書類にヌシ様が免許種別と免許番号を記入していたので、その記入済みの書類の写真を撮っておいたのです。その画像に写っていたヌシ様記載の免許証番号と免種を、申請書に転記したのですが……「その4」の32日目で書いた「大きな過ち」とはこのことでした。
「……すみません、免許証、直接は見ていないです。すぐ確認します……」
「すぐに確認できなければ今日は受験できません」
--ぐぅぅぅぅっしっ試験を受ける前から試験は始まっていたぁぁぁぁぁ!!!!
先の彼女が「すみません確認できました。一種でした」と書類を持ってきたのと入れ替わるように、店長は書類を掴んで待合所を飛び出したのでした……
免許種別の怪
運良くヌシ様とはすぐに電話がつながり、事情を説明して、ヌシ様の免許証をスマホで撮った画像データを送ってもらった店長。「ヌシ様の免許が普通でなく中型だった」というオチでした。
「まえがき」で書いたように、2022年(令和4年)の時点で「普通車免許」の保有者は全免許保有者のうちおよそ8%しかおらず、一番保有者が多い免許種別は「中型免許」で全体のおよそ7割を占めます。これは、「みんなが中型免許を取ったから」こうなっているのではなく、免許制度の変更によるものです。
2023年現在、運転免許で特殊、二輪、原付、牽引を除いた自動車の免許は大きさ別に4種類、「大型」、「中型」、「準中型」、「普通」とあります。2007年に「中型自動車免許」が新設されるまで、自動車免許は「大型」か「普通」かのどちらかで、もちろん多くの人が普通免許を取得していました。そして中型免許が新設されると、新設前までに普通免許を取得していた人は保有免許が自動的に(限定付きだが)中型免許に書き換えられたのです。さらに2017年に「準中型自動車免許」が新設された時も、中型の時と同様の処置が取られました。つまり、2017年までに普通免許を取った人は、今では中型か準中型の免許保有者に変わっているのです。一番取りやすいはずの普通免許が2022年時点で全体の8%しかいないのはこのためです。
この変更は免許保有者からの申告や手続きを特に必要とせず、保有している普通免許の更新時に自動的に処理されているので、当の本人でも気づいていない場合があります。現に、ヌシ様はこの一件があるまで自身の免許が8t限定中型免許になっていることを知りませんでした。なので、自分の免許が取得時と同じ普通免許だと思い込み、それをコース開放利用時の書類に誤って記載し、店長がその誤った内容を申告書に書き写してしまった……というのがこのトラブルの顛末です。コース開放の書類は誤った内容のまま受理されてしまったということになりますね。
ヌシ様から送られてきた免許証の画像を確認して、店長は大急ぎで免許種別の箇所を「中型」に書き直し、試験の説明が終わってまさに第一陣が試験車に乗り込もうというギリギリのタイミングで試験官に書類を渡したのでした。試験官は店長が渡した書類を一瞥し、成績表を渡して「待機していてください」とだけ言って試験車に乗って行きました。渡された成績表を見ると、店長の試験順は4番目でした。
--待機って言われたけど……成績表をもらえたってことは、試験受けさせてもらえるってことだよね……4番手でよかった……間に合った……
これが1、2番手だったらアウトだったかもしれません。仮免技能と同様、受験回数が多い順に試験されているようです。受験できるようになったのはよかったですが、書類不備で心証は悪くなっています。試験本番で挽回せねばなりません。
何があるかわからないし、初回は落ちても仕方がない……そう考えていた店長ですが、まさかこんなところでケチがつくとは思ってもいませんでした。思わぬトラブルで気力を削がれ、心証の悪化で落ち込み気味になっている待機中の店長にヌシ様から届いた連絡は「自分が免許を取った時には普通免許だった」というその時点で主張することに何の意味も意義も必要性も効能もない、ただ店長の神経を逆撫でするだけの内容でしたとさ。
さあどうなる本免技能試験。
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