また埼玉の練習場へ。
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またやってきた練習場。 |
37日目 試験日の予約変更
ヌシ様と反省会、ふたたび
「うーん、フツーにちゃんと曲がれてたと思ったんだけどなぁ……」
また試験に落ちてしまったことと、講評で試験官に指摘されたことを店長から聞かされたヌシ様は言いました。
コレが「一発試験は運転に慣れている人でも落とされることがある」ことの由縁で、「コースに沿ってフツーに走れている」だけではダメで、「コースと『ルールに』沿って走れている」ことが求められるのです。特に交差点の右左折においては、指示器での合図、目視、寄せ、軌道など、こまかくチェック項目が設けられていて、それぞれ規定通りにできていなければ減点、それがかさめば不合格、となってしまいます。
試験場のコース開放で練習ができたとしても、ヌシ様には一発試験の知識が皆無なので、その点においては試験の対策ができない。それは当初からヌシ様も言っていたことだし、店長自身も承知していたことではありました。その上で練習に行って、当初の課題であった「加速と減速」については今回の試験では減点されなかったのだから、練習に言った価値は十分にあったと言えます。ですが……
「次の試験、どうする? またコース開放で練習しに行ってもいいけど……」
「そうなんだよね……」
「コマ数消費しちゃうけど、スクールで教えてもらったほうがいいんじゃないのかなぁ……」
店長も悩んでいました。スクールの残りコマ数は10コマ(10時間)。店長としては、この残りは本免技能試験のために温存しておきたいと思っていたため、できることならこのタイミングでは使いたくない。そう考えて、1回目の試験に落ちた時にも、コース開放利用という道を採ったのでした。しかし……
「前回は、『加速と減速』、もっと言うと『そもそもクルマを運転することにもっと慣れる』ってことが課題だったから、コース開放使って、ししまる号で練習するのでもよかったし、実際にすごく練習になった。けど、今度は『曲がり方』だから、コースが同じってところはコース開放の方が有利だけど、車体の大きさが試験車とかなり違うししまる号での練習ってのはネックなんだよなー。試験車と同じようなクルマで練習できたほうがいいよねきっと……それに、曲がる時のシビアな判定は、プロにやってもらったほうがいいだろうし……」
「本免のためにコマ数が必要なのはもちろんだけど、それも仮免を取ってこその話でしょ」
ごもっとも。
かくて、2時間だけ追加でスクール練習を入れることになったのでした。
試験日の予約変更電話
無事に想定通りスクール練習の予約を入れた店長。次にやったことは、試験日の繰上げです。
技能試験は試験場の予約機で予約する必要がありますが、すでに試験日が予約できている場合に限り、電話で試験日を変更することができます。「変更できる」と言っても、当然それは試験のワクが空いていればの話。さらに、受験生がみんな同じことを考えているので、窓口の電話はなかなか繋がらないのでした。
実は店長、前回までにも予約日変更を試みていて、つながりにくいことも経験済だし、つながっても、希望の日が空いていないということも経験済でした。一度、試験日を前倒しできる機会もあったのですが、「もとの試験日の2日前」という日しか空いていなかったので、その時は結局前倒しせずにそのまま予定通りの試験日に臨んだのでした。
その予約変更を今回もトライ。なかなかつながらないのは毎度のことですが、スマホでリダイヤルは簡単にできるので、1日の発信回数が50回超なんてのはザラです。
午前中でも午後でも、つながるときはつながるし、つながらない時はつながらない。また、つながったところで、空きがなければ変更せずに切ってリトライするしかない。「回線の混み具合」と「予約の空き具合」という2つの要素があるので、「狙い目の時間帯」などというものはあまり考えないほうがよさそうです。実際、店長は午前でも午後でもつながるときはつながっていました。運任せの根気作業。
かける先の電話窓口は試験予約専用の窓口となっていますが、実際に電話してつながると、「技能試験課です」と名乗るだけなので、用件はこちらから伝える必要があります。試験日の予約変更をしたいと伝えると、「Aから始まる予約カードの番号と名前を教えてください」と言われるので、その通り伝えます。その2で書いたとおり、予約変更の電話を何度もかけていると次第に予約番号を覚えてしまいます。
予約電話もこなれた店長、しまいにゃ、つながって先方の名乗りが終わると「予約の確認なのですが番号をお伝えしてよろしいでしょうか」と、簡潔な言い回しまで考案してました。繰り返しの作業ですからね。簡略化は大事。けど丁寧さは忘れずに。
そしてなんと今回、大変ラッキーなことに当初の予約日より1週間以上繰り上げることができました。希望通りの午後の試験で、しかもスクールに予約した練習日の翌日です。こんなコトもある。諦めずに電話してよかったね店長。
予約日変更の手続きは非常にアナログ。変更する日を電話で確認したら、自分が持っている受験票に、ボールペンで日時を書き直すように指示されます。加えて、電話口で新しい受験番号(予約番号とは別の3ケタの数字)も伝えられるので、合わせて書き換えます。それで完了。
ちなみに、「こんなに何度も何度も電話かけていいモノなんだろうか」というためらいが店長にはありましたが、ある時思い切って電話口で尋ねてみたところ、「前倒ししたいなら、空きが出るまで何度も電話かけてもらうしかない」と回答されたので、「何度もかける」ということ自体は問題ないようです。
41日目 仮免運転練習4回目
新しいインストラクター
仮免技能試験の前に3回通った埼玉県さいたま市某所。4度目となる今回、待ち合わせの駅に現れたのは、それまで3回とも同じだったインストラクターの人とは違う人でした。
駅でクルマに乗せてもらい、練習場に連れて行ってもらう道すがら、それまでの技能試験のことと、今回特に練習したいところを伝える店長。インストラクターさんはそれを受けていろいろと話してくれていましたが、その話し方が知人のY田くんに似ているなと店長は心の中でひとり笑っていました。容姿はまったく似ていないんだけど、そのちょっとクドめの説明するような話し方がY田そっくり、と。
練習場に着くと、Y田さん(仮)はさっそく運転を店長に代わり、運転してみるように言います。指示通りのコースを運転する店長を、言葉少なめに見守るY田さん(仮)。カーブしたり曲がったりを数回したあと、発着点に戻るように言い、クルマが停まると……
「クルマを動かすこと自体はある程度問題なくできています」
--ふむ……だとすると……?
「もっと視野を広げて、道を空間として捉えてください」
--!!!!!?
「空間を捉える」
「道を空間として捉える」……
少年マンガに出てきそうな中二感満載のフレーズに面食らった店長。ですが、大真面目に話すY田(仮)の説明は、幾分か抽象的な表現も含まれていたものの、店長が納得できる内容でした。
Y田氏(仮)曰く。
もっと顔を上げて視点も上げて、走っている道路だけでなく風景全体を見なさい。いま走っている道も、これから進む道も、道をみるのでなく空間全体として捉えて走りなさい。自分が動かしているクルマがどこを走っていてどこを走っていくのかを道路だけでなく空間として捉えなさい。
「ものすごく極端なことを言えば、縁石や白線は、見なくったっていいんです」
--師よ……!!!!
何かに目覚める店長。
「まぁ、クルマに数回乗っただけの人にそんなことをやれってほうが無理な話なんですけどね」とY田氏(仮)は言いました。それでも、Y田氏(仮)のアドバイスは、店長に、もとい店長の運転に劇的な変化をもたらしたのです。
言われたことを意識して、改めて運転してみると、カーブでも右左折でも、その前よりずっとスムーズに動かせていることが店長自身に感じられました。S字もクランクも、縁石を頼りすぎないようにして、クルマが進む先をイメージして動かしていくと、縁石をこれでもかと睨みつけていた時よりもよほど順調に進められるではありませんか。
例えば右折の場合、教科書的には「路面に描かれた標示の内側をタイヤが沿うように進め」と言われます。そうすれば、正しく進めていることになる、という理屈です。これについて店長は文字通り、路面の標示のすぐ内側を通るようにクルマを動かそうとしていたのですが、Y田氏(仮)のアドバイスは見方を逆にすることでした。つまり、「正しい軌跡でクルマを進めれば、結果として路面標示のすぐ内側を通ることになる」と。S字についても同様で、「タイヤが縁石に触れないように進め」というのは、逆の見方をすれば「正しい軌跡でクルマを進めれば、結果としてタイヤが縁石に触れることはない」ということです。
そもそもが正しい軌跡でクルマを進めることが目的なのであって、縁石や標示はそのガイド、あるいは判定装置に過ぎない。Y田氏(仮)の言う「縁石や白線を見なくても構わない」というのはそういうことで、その「正しい軌跡」で進めるために、「進んでいる道、進もうとする道を空間として捉えろ」ということがあり、そのために「目線を上げろ、視野を広げろ」ということになっていくわけです。これはイメージとか意識とかの問題であって、実際の挙動として正しい軌跡で進めるのであればどのような意識の持ち方であっても構わないということですが、店長は、睨みつけるように縁石や標示に意識を向け過ぎていた時、「正しい軌跡で走ることのイメージ」ができていなかったことを実感しました。結果的に、「正しい軌跡で走ることをイメージする」方が、実際に正しい軌跡で走れたのです。
もちろん「意識する」ことも定着していなければ抜けてしまい、意識できていない時にはそれが軌道に現れます。そういう時にはすかさずY田氏(仮)から「目線を上げて」と注意が入り、意識し直すとまた具合がよくなる。これには店長もビックリ。意識の持ち方ひとつで運転がこれだけ変わるとは。
この日は、それまでの5時間の練習ではなく2時間だけだったので、それまで以上にあっという間に終わりの時間がやってきました。店長が発着点にクルマを停めて練習終了。Y田氏(仮)は、口の端にだけ笑みを浮かべて言いました。
「うん、いいですね」
--ホントにありがとうございますY田さん(仮)!! そしてマジで激似!!
さあ翌日、仮免技能試験。三度目の正直になるか。
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