試験場のコース、使えます。
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これは正門。コース開放利用時は西門からどうぞ。 |
22日目 コース開放予約
まずはお問い合わせ
「ウチのししまる号でちょっと運転の練習ができるところがあればいいのに」
--試験場のコース開放、ネットでちょっと読んだだけでちゃんと調べてなかったな……
そう、府中と鮫洲、東京都のこの2箇所の免許試験場では「コース開放」をしています。もちろん「開放」と言っても自由に使えるわけではなく、事前予約や条件がありますが、その利用条件はあまり厳しいものではありません。利用者本人が都内在住で18歳以上であること、コースで利用する車両を運転できる種別の免許を持って3年以上経っている人を同乗させること、基準を満たす車両を持ち込むこと、このくらいです。利用者が無免許でも利用できるので仮免前の運転練習も可能。教習所でもないのに無免許の人間が運転を練習できる、大変貴重な場所です。
ししまる家には愛車ししまる号があり、ヌシ様は免許取って3年どころじゃないですから、ヌシ様が協力してくれれば、店長もコース開放で練習できます。
「……というワケで、ヌシ様が協力してくれたら、試験場のコース開放が使えそうです」
「都合がつくなら、一緒に行くのはもちろん構わないよ。で、いつなの?」
「それが、土曜と祝日しかやってなくて、予約制なんだって……ネット情報だと、やっぱりすぐは予約できないみたいなんだよね……ひと月先まで予約いっぱいってこともザラみたいでさー」
「ふーん……とりあえず問い合わせてみたら? 今度の土曜なら行けるから、もし空いてたらラッキーじゃん」
「うん、まぁ、そうだよね。まずは聞いてみないとね」
電話してみたらあっさりと次の土曜、その次の土曜まで予約が取れちゃいました。何事もやってみないとわかりませんね。ネット情報も参考までに。
練習ができるのは一人1日1時間だけ。時間割は決まっていて、午前9時半からの1時限目から、午後3時からの4時限目までの4コマです。店長がダメモトで問い合わせたのに、あっさりと「次の土曜なら1時限目以外、その次の土曜ならどのコマでも空いてますよ」とのことでした。また、ひとりがあらかじめ複数の日に予約を入れるのもアリとのこと。ただし、「1本の電話で1回の予約しか受けられない決まりなので、別日にもう1コマ予約するなら一旦電話を切って再度かけてほしい」との謎ルールでした。言われるままに2回電話をかけて希望の日時を指定し、電話を終えて先方からの確認電話をもらって予約完了。
コース開放の利用が決まりました。
25日目 試験場コース開放利用1回目
まずは利用受付
ヌシ様は10代の頃に免許を取り、以降、私用でも仕事でも、いろいろな街でさまざまな道を、さらには他所の国でも運転したことのあるベテランドライバーです。が、もちろんながら「一発試験」なんてモノは受けたことがなく、そもそも免許を取ったのもはるか昔すぎて法規走行の細かい部分なんて覚えちゃいません。
そんな人間を指導員として同乗させた練習で試験の対策になるのか、という点は確かにあります。
だがしかし。店長が試験で落とされたのは「法規走行」よりももっとずっと手前の、「加速と減速」というそもそもの「運転技術」の話。店長自身の考察で、「単純に『慣れ』が必要なのではないか」ということで、それであれば、とにかく運転が(安全に)できさえすればいいので、スクールのコマ数を消費してわざわざ遠いさいたま市まで行かなくてもコース開放での練習で事足りるのでは、という算段でした。もしそれで足りないのであれば、その時にスクールを使えばいい、と。
そしてやってきたコース開放の予約日。1回目は2時限目の予約。「練習開始時間の30分前に試験場に来るべし」とされているので、ゆとりを持って自宅からししまる号で出発。もちろんヌシ様の運転です。
店長はこれで3度目の試験場になりますが、コース開放の利用で来るのは初めてだったので、まず車をドコに停めていいのかわかりません。店長だけ先に降りて受付にいた係員の方にお伺い。すると、試験の時の発着レーンのどこかに縦列で停めてよいとのこと。ただ店長が少し驚いたのは試験の時の方向とは逆向きに停めろとの話(試験の時は左側通行に則って、歩道にあたるプラットホームが左手に来る向きで発進、停止します)。割と早く着いたこともあって他の車はなく、「ホントにコレで合ってんのかな」と二人して不安になりましたが、結果的に合っていました。コース開放利用時の進路自体、試験の時と逆向きだったので(プラットホームを逆走してコースに入る)。
車を停めて、受付の待合室で待ちます。この待合室は本免路上試験の際の待合所でもあるのですが、店長がそのためにこの場所に来るのはまだ先の話。時間が経つに連れて利用者と思しき人たちの姿が見え始めます。外国人の方もいるし、若い方と親御さんであろう方のペアや、ワイシャツにスラックス姿でどうみても素人ではなく「業者」であろう方、くだけた服装だけどこれまた場慣れしていて、練習する人と待合所で初顔合わせだったのであろうベテランぽい方などなど、利用者の顔ぶれはさまざまでした。
開始時間になると、係の人が説明を始めます。試験を受けにきた時の試験場の方は皆さん制服かワイシャツ姿でしたが、コース開放の係の方はラフな服装でした。そして配られる書類に必要事項を記入します。書類は「施設使用申請書」と「誓約書」がペライチにまとめて印刷されたもので、「申請者」(コース開放を利用して練習する人、今回であれば店長)の氏名、住所、免許証有無、車両番号などに加えて、「指導者」(利用に必須の条件を満たした同乗者、今回ではヌシ様)の氏名や職業、免許番号などを記入する項目があります。そして二名とも誓約書に署名。
必要事項を記入したら、書類提出と利用料2,000円と保険料200円あわせて2,200円をお支払い。ココは試験場と違い現金オンリーなのでご注意を。予約時に、釣り銭出さずに支払うよう言われます。ちゃりーん。支払いが済むと、コース利用時に車体に貼るマグネットシートでできたゼッケンを渡されます。
一通りの説明が短めに終わると、「時間が少し早いですが、もう利用していただいて構いません」とのことで、いざ練習開始。
初めてのコース開放、初めてのししまる号
受付に集まっていた人たちがわらわらと停めていた自分達の車に乗り込み、次々と発車していきます。店長とヌシ様も、車体にゼッケンを貼り付けて、さぁ出発。店長、初めてのししまる号の運転にドキドキです。ずっと助手席に乗ってきたこのクルマ、とうとう自身で運転する日が来ようとは。しかもそれが仮免すら取る前の練習とは。
しかしながらこれは時間の限られた練習なので感慨に浸っているヒマはありません。車体感覚や運転の感触を確かめるためにまずは外周。というかほとんど外周。
先日の試験不合格でわかったことは「そもそもの『クルマを運転する』という技術が身に付いていない」ということだったので、外周を流して、ちゃんとスピードを上げたり維持したり緩めたり、という基本中の基本をおさらい。特にダメ出しされた障害物回避も外周に2ヶ所あるので外周を回るうちに練習できます。速度を落とさずにスムーズに「目視→合図→右に避け→目視→合図→左に戻し」ができるように繰り返し練習。試験を知らないヌシ様は「そのわざとらしい目視確認どーなの」などと笑っていましたが、実践での感覚で「いまのはたぶん近すぎると思う。もっと(ハンドル)切って距離取って避けたほうがいいよ」などと実用的なアドバイスを出したりもしていました。実際、試験でも「障害物」で車体と十分な距離が取れていなかった場合、20点と大きな減点になるので、この指摘は至極真っ当です。さすがヌシ様、ダテに長くクルマに乗ってません。トンチンカンなことを言って店長を怒らせることももちろんお約束でしたが(「実際がどーでも試験ではこーなんだってば!」的な)。
外周路は「50キロ速度指定」の場所でもあるので、合わせて練習。一気に加速、メーターをチラ見で確認、加速しすぎず維持、無理なく緩やかに減速。府中の仮免試験の「速度指定」は、コースの距離もあってか、指示された直線で加速して一瞬でも50キロに到達すればクリア。なので、仮免試験だけなら速度の維持ができなくても「とりあえず50まで加速だけできればヨシ」ですが、その先の本免試験、さらに言えば実践で、「速度維持」は要求されるスキルです。この速度指定の練習の時も、「(時速)9キロってどんなんよ……クス」と、ヌシ様は店長を笑っていました。性格悪し。
左で回って、少し交差点に入ったりして、今度は右で回って、また交差点入って、最後にもう一度左で回って、練習終了。あっという間の1時間でした。車体に貼ったゼッケンを返却して試験場を後にします。
帰宅したあと、留守番していたししまるを連れて、この日の夜はフィオ家と飲み会。かわいい犬たちに疲れを癒してもらった二人なのでした。
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「おつかれさまでしたー」 |
32日目 試験場コース開放利用2回目
2回目なのでいろいろスムーズだったけど……
1週間後、再度コース開放の利用で試験場へ。今度は午後イチの3時限目です。場所や手続きの流れもわかったので1回目よりも気楽な二人。1回目と同様、書類を記入して提出し、開始を待ちます。この時、二人が大きな過ちを犯していることに気づくのは、まだもう少し先の話……
さて、練習開始。前回同様に外周を回って軽く感触を確かめて、今回は前回あまりやらなかった交差点での右左折や、S字、クランクを練習。ししまる号はハイエースなので試験車よりも幅も長さもひとまわり大きいため、S字やらクランクやらの練習になるのかと言うとやや微妙ですが、「ししまる号でできるようになってりゃ試験車両ではヨユーであろう」と軽めに練習していました。すんなりクリアとは行かずとも、「まぁ試験車だったらだいじょぶじゃね?」というノリ。
1時間の練習は今回もまたあっという間に終了。
2回のコース利用を終えて
ダメモトで問い合わせてみたコース開放利用でしたが、結果として、店長は非常に満足していました。次回の試験までの2回の週末、どちらも予約が取れて、どちらもヌシ様の都合がついて、2回も練習できたのは相当にラッキーだったと言えるでしょう。
利用料がかかる、ヌシ様が余計なことを言ってきて気が散る等のデメリットはあったものの、それを補ってなお余りあるメリットを享受できる機会となったのでした。
利用料2,200円の発生については、もしスクールの練習に行っていたとすれば発生している交通費と大差なく、さらに言えば既に支払い済とはいえスクールの残りコマ数を消費することを時間単価で計算すればコース利用料のほうがよっぽど安いという話になります(ヌシ様の労働力提供が無償でなされたという前提もあってですが)。ヌシ様がうるさいということについてはもうガマンするしかないですが、前述のとおり良いアドバイスが入ったりすることもありました。1回1時間しか練習できないのはたしかに嬉しくない点なのですが、その分、休憩ナシのノンストップで集中して練習できますし、当たり前ですが何時間も練習するのに比べて疲労が少ないです。
そして何よりも、「実際に試験で走るコースを使って練習できる」。これがコース開放を使う一番のメリットでしょう。一発試験と公認教習所との比較で、よくネットで見られる意見のひとつとして「教習所は普段練習しているコースで試験が受けられるという時点で一発試験より易しい」という点がありましたが、コース開放利用によって、この部分のデメリットを消すことができます。もちろんカネと時間と手間を余分にかけているといえばそうなりますが、必須のオプションではなく必要になった時に使えばよいモノなワケで、使わなくても試験に受かるようなレベルの人は使わなければいいのです。一方で、使った店長の印象としては、「使えるなら使ったほうが仮免取得の近道になる」というものでした。
店長はコース開放練習時に、試験でのコース4種を実際に走ってみる、という練習はしなかったのですが(できればしたかったが、時間的な余裕もない上にコース図を忘れてヌシ様がナビれなかった)、それでも、「もうこのコースでは何回か走っている」という気持ちだけで、試験の際の緊張をほぐすことができました。安心感という心理的なものなので付属的なものではありますが(どんなに安心していようとそもそもの技能がなければどうしようもないので)、緊張が挙動に強く影響する人であればあるほど利点として大きいものになるでしょう。また、試験のコース全体ではなくとも、「交差点」や「障害物」、「S字」、「クランク」、「速度指定」などの各要素はすべて試験本番と同じ環境ですから、試験に向けた練習環境としてはこの上ないものです。
さらに、府中のコースは広いです。店長とヌシ様が利用した時、受け入れ数の上限までどの程度だったのかはわかりませんが、2回の利用とも、混雑とは無縁で快適に練習することができました。S字やクランクで、若干混み合った場面もありましたが、ごくわずかで、「なかなか走れず練習にならない」というようなことはありませんでした。実際、店長がスクールで利用していた埼玉の練習場はもっと狭く、もっと混雑していて、「交差点でしばらく待つ」という実践並のシーンもしばしばありましたし、コースの広さの都合上、速度指定の練習は40キロが限界でした。また、障害物の練習も、障害物と見立てているところが実際は2レーンのコースで練習車両が通るため、試験の要素の練習としてはやりづらいところがありました。
結局、2回のコース開放練習を経て、店長はスクールで追加練習することなく技能試験にリトライするのでした。翌週、2回目の仮免技能試験です。
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