初めての運転、そして仮免技能試験。
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受験の手引きと技能試験予約カード |
学科試験の合格者は、試験終了後に技能試験受験に関する簡単な説明が行われ、「受験の手引き」と「技能試験予約カード」が渡されます。
技能試験予約カードは最近ではあまり見かけない磁気ストライプのついたプラスチックカードで、盤面にAと6桁の数字が刻印されています。このA以下の番号が受験者の受験番号のようなものになっていて、自身で何かに記入したりすることはないのですが、試験日の予約変更の際はその都度、電話で読み上げなければならないため、何度も変更の電話をかける受験者はイヤでも覚えるハメになります。
学科試験終了後、試験場を出る前に、3階38番窓口にある予約機で、予約カードを使って技能試験の予約を入れます。カードを機械のリーダーに差し込むと、画面に大きくカレンダーが表示され、その時点で予約可能な枠が表示されます。試験は平日の午前と午後。
店長が予約しようとした時、直近で空いていた枠はなんと翌週の火曜日。こんなすぐに空いているのは相当レアだったのですが、これから運転の練習を始めるという人間にはいくらなんでも早すぎて受けられません。その日を過ぎると、今度はしばらく空きがなく、一番早くて14日後、もう6月に入っていました。店長としてはもう少し早く受けたかったのですが、空いていないならしょうがない。自身の都合もあり、6月上旬で試験日を予約しました。
4日目 スクールの運転練習予約
1日5時間×3日分
無事に学科試験をパスして技能試験の予約も入れてきた店長。少し技能試験の日が先になりましたが、ココまでは順当です。さぁ次はいよいよ実際の運転の練習。
申し込んだスクールのコースは、AT限定の25時間コース。1日2時間以上から自分の好きな時間配分で練習できますが、スクール側の目安としては仮免前に15時間、最短でやるなら1日5時間を3日分、とのこと。店長は「教習所に通う回数が少なくて済む」という点にミリョクを感じて非公認教習所の一発試験という道を選んだのですから、ココはもちろんスクールのおすすめ通りに3日分で練習を設定。ただ、1日5時間も慣れないコトをやればきっとヘトヘトになるだろう、ということで、試験日が先であることも踏まえて練習日は週を跨ぐようにして、3回目の試験直前の練習は試験日前日になるように組みました。この練習日の設定もすべてメールで対応。スクールも混んでいなかったのか、希望通りに予約が完了。
「初日の5時間で運転教本の第一段階(路上に出る前、つまり仮免受験の段階)のすべてを練習するので教本で予習しておくように」とのお達し。うーん、たしかにスピーディー。
9日目 仮免運転練習1回目
レッツ、さいたま
言われた通りに予習をこなして数日後。いよいよ練習1回目当日です。
スクールから指定された待ち合わせ場所は埼玉県さいたま市某所のJRの駅。電車に乗ってこれだけ遠出するのも店長には久々です。がたんごとーん。定刻に現れたインストラクターさんの車に乗せられて練習場へ移動。
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駅から見たのどかな街並み |
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練習場。 |
練習場は外国の方向けのスクールさんも使っているようで、オリエンタルな文字の書かれたクルマで練習するエイジアな方がちらほら。
到着したらインストラクターさんと運転を交代して、さっそく練習開始です。
エンジンの入れ方、発進前準備、ハンドルの操作、チェンジレバーの操作、アクセルとブレーキの操作、ウインカーの操作、発進と停止、加速と減速、カーブ、右左折、車線変更、交差点、標識、信号、S字、クランク、踏切、坂道、障害物、停車手順。
ちょいちょい休憩を挟みつつ、あっという間の初日の5時間。予想通り、初めてのことに店長は心身ともにヘロヘロです。お疲れ様でした。
「バック」はやらない
ところで、先に書き連ねた練習の項目の中には「バック(後退)」が入っていません。これは「仮免技能試験ではバックを使わなくてもいい」からでしょう。仮免技能試験でバックを使うとすれば、S字かクランクで切り返しをしようとする時に限られます。それ以外でバックしなければならない試験要素は仮免技能にはなく(本免にはある)、S字とクランクを切り返しナシで通過する場合、通常であれば最初から最後までギアをR(リバース)に入れることなく試験を終えます。
また、S字やクランクでの切り返しは1回だけなら減点されないものの、2回目以降は減点、4回やった時点で失格です。さらに、切り返し中の後退も採点対象となる走行ですから、所定の安全確認(後退前、後退中の目視確認)等に不備があれば減点されます。バックしなければ生まれなかった「減点の機会」が増えるということです。そもそも望ましい走行ができていればS字もクランクも切り返しをせずに通過できるということもあって、まとめると仮免技能でバックを使うと合格が遠のく、という話になります。なお、仮免技能でS字クランク以外のところで切り返し(つまりバック)をしたらそれだけで減点ですが、そんな事態になった時点で合格はないでしょう。
もちろん教習項目としては、S字クランク(狭路の通行、第11項目)の直前に、バック(後退、第10項目)がありますが、店長の受けた練習では、まさに「切り返し時の操作の一つ」としてしか教わらず、バック走行そのものは練習しませんでした。
14日目 仮免運転練習2回目
そんなに簡単じゃーないよね
前回の練習から土日を挟んで5日後。
前回と同様にさいたま市某駅でインストラクターさんと待ち合わせして練習場で5時間練習。前回習ったことを振り返りつつ練習にあたるも……
--うーん、あんまりうまくいってるカンジがしない……
20日目 仮免運転練習3回目、試験前日
次の日はとうとう試験本番だけど……
前回からまた土日を挟んで6日後。
前回までと同様に5時間練習。
--あんまり上達してなくない?
イントラさん曰く、「仮免技能、初免許の初回で受かる人は1割か2割か……まぁ少ないです」。
--うんネットで見た限りでもそうみたい。だから、初回はダメモトでね。ホンネは一回でパスしたいけど。でもまぁムリだしね。ホントはしたいけど。
「いまの状態だと……うーん、まぁ、(受かる可能性)50パーセントくらい……かな……」
--盛りに盛りまくった慰めをどうもありがとうございます。
21日目 仮免技能試験当日
いざ、府中試験場へ(弱腰)
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警視庁府中運転免許試験場正門 |
午後の試験は13時から。その時間より前に2階の技能試験室に集合します。店長が少し早めに試験室に行ってみると、50脚以上はありそうなイスがずらりと並んだ広めの部屋に、受験者らしき人が数人、バラバラに座っています。イスが向けられた部屋の前方にはモニタがあり、受験時の注意事項などが書かれたスライドが静かに流されていました。店長は定刻近くにまた戻ることにして、部屋の外のベンチで運転教本を復習したりトイレに行ったりして時間を過ごします。
技能試験室に集合
定刻の10分程度前になって店長が試験室に入ると、だいぶ人が集まってきていました。店長はモニタのスライドの文字が読める位置の席に座り、流されているスライドを確認します。さほど重要な情報は載っていませんでしたが、「プリウスの操縦方法」について、パワースイッチでのエンジンの入れ方や独特のシフトレバーの操作方法、ペダル式のパーキングブレーキなどについて説明が流れていました。すべてではないですが試験車にはプリウスがありますから、プリウスに乗ったことのない受験者への救済措置といったところでしょうか。店長は、スクールでの練習が3回すべて違うクルマで、その内1回プリウスで練習できていました。
定刻になって、職員の人たちが数人入ってきて、説明を始めます。様子を見ていると、試験室に集まった人たちは、普通仮免の試験だけでなく、二輪や二種免許、大型など、試験される免許種別はさまざまである模様。説明が進められると、種別ごとに名前が呼ばれ、各自が持っている受験票と引き換えに、「成績表」という試験時に使う採点用の用紙を渡されます。「自分の成績表」と聞くと、すでに自分が採点された結果が書かれているものが想像されますが、ここでの成績表は「このあと自分の運転を試験官に採点してもらうための表」になっています。
成績表を受け取ったら、「前にかかっている札の列ごとに、前から、自分の試験順と同じ席に座るように」指示されます。言われて店長が見ると、椅子の最前列の前方上部に吊られたワイヤーに、いくつかの札が掛けられていました。
「普通仮免許AT限定1号車 - Cコース」
「普通仮免許AT限定2号車 - Bコース」
府中試験場の仮免試験はAからDの4コース。スクールからの情報でこのことは店長も確認済、各コースもざっと確認してありました。「C」から始まる店長の試験。ピアノのように優しく走って。(by ミホ・ナカヤマ)
試験開始
職員の方の説明が終わって、とうとう仮免組の試験開始です。この時、1号車と2号車の2台で、受験者は総勢10名以上はいたでしょうか。
試験官の合図で、全員が試験室から移動。入り口とほぼ対角にある出入り口から、試験車両のあるプラットホームに降りていきます。各試験車の助手席に試験官が乗っていて、試験順に運転席に乗り、次の番の試験者が1人、後部座席に乗ります。
自分のひとつ前の順番が来るまで、受験者はプラットホームで待機。出発した試験車両は戻ってくるまでほとんど見えないので、試験の様子を見ることはできません。この時点でスマホ使用禁止のため時間潰しにネットを見ることもできず、受験者はのどかな試験場コースの端で、順番をひたすら待つことになります(知ってか知らずかスマホをいじっているアジア人の方がいましたが、発覚すれば試験中止の可能性もあります)。
--雨が降らなくてよかった……
薄曇りの空を眺めながら店長は思いました。6月上旬、すでに梅雨です。ささいな違いとは言え、仮免技能試験では雨は不利にしか働かないので降っていないほうがいい。梅雨時の受験は技能試験だけでみればリスキーです。ただ一方で、みんなが同じことを考えて梅雨の時期の受験を避けるとしたら、それは試験を受ける機会が増えるということ。梅雨が明けて、夏が来てしまうと、逆に一気に混雑期に入ってしまいます。それもあって、できるだけ早く免許を取ってしまいたい……そんな店長の思惑がありました。--マグレでもいいから、今日一回で仮免取れたらいいんだけど……
そう思っていたら、1台の試験車両がホームに戻ってきました。2号車です。--あれ、2号車って、ついさっき出発したばっかりじゃなかったっけ……停車して、降りてきた受験者はやはりさっき乗って行った人です。助手席に乗ったままの試験官から窓越しに何か言われ、そそくさとホームの階段を登って建物に戻っていきました。--あぁ、試験の序盤で、一発アウトをやっちゃったんだな……だからこんなに早く試験が終わっちゃったんだ……試験の厳しさを目の当たりにして、店長はどんどん緊張が高まっていきました。
技能試験は減点方式。スタート時点で各人持ち点100点。試験開始後、所定の採点基準によって、減点事項に該当した行為について都度減点され、減点が合格ラインをオーバーした時点で試験終了です。普通車の場合、本免、仮免とも合格ラインは70点。よって減点が30点まででゴールできればセーフ。ただし、採点基準に定められた「危険行為等」に該当する事項が適用された場合は残り点数にかかわらず試験終了。加えて、「試験官補助(試験官に補助ブレーキ踏まれるとか)」、「指示違反(試験官の指示に従わない場合)」も、試験終了となります。
2番手以降の受験者は、直前の受験者の走行を同乗してみることができます。その点で1番走者は不利になりますが、試験順はどうやら、受験回数が多い順になっているようでした。少なくとも初回の店長はかなり後の方だったし、たまたまホームで隣に座っていた店長の次の走者も、手に持つ成績表には店長と同じ「新規」の印字がありました。2回目以降の受験者の成績表には「新規」の文字の代わりに直近の受験日が印字されます。
30分以上は待ったでしょう。とうとう店長の前の走者が試験車の後部座席から運転席に乗り込み、店長が後部座席に乗る番になりました。
試験官は、誠に失礼ながら見た目が大変にいかついコワモテの男性でした。風貌だけでなく発せられる言葉の雰囲気も堅く厳格。まさに厳正な試験を執り行う鬼の門番のよう。ささいなミスも見逃さない……そんなオーラが鬼さん試験官から漂っています。
前の走者の準備が終わり、運転が始まりました。最初の約100メートルは「ならし運転」。採点対象外です。ならし運転終了地点から発進して、走行の採点が開始されます。次は自分が走る番、店長も緊張しながらコースを観察します。まずは停止線から外周路を右折……
--あ、あれ?あれれれ?これは……
「……コレ停止線越えてますよ……」
鬼さん試験官が口を開きます。のっけから、一時停止の位置が停止線を越えてしまいました。固まる前走者くん。そりゃそうです。もう越えちゃったんだから、このあとどうすればいいのかわからなくなっちゃう。
「……進んでください。右折です」
これは鬼さん試験官の温情措置でしょう。本来であれば、停止線で一時停止しない「指定場所不停止」は「危険行為等」に該当して試験中止。車体の一部が停止線を越えて停止した場合でも適用ですから。鬼の目にも涙。
しょっぱなからやらかしてしまった前走者くん、気を取り直したのか平然と走り出しました。教示通りに左折して坂道に入り、坂道で一時停止してからの発進、いわゆる「坂道発進」。なんなくこなし、「踏切」通過。これも問題なし。けど、なんだかあまり目視確認をしていないような……
そのまま進んで「S字」を通過し、次に「クランク」……すごくスムーズというほどではないけれど無事に進んでいるようには見えます。ただ、やっぱりあまり確認をしていない様子。
そしてクランクを抜けたあとです。鬼さん試験官が「○番を右です」と教示しました。
--あれ、コッチにいったら、コースから離れるんじゃ……?
店長が思ったとおり、試験車はそのまま発着点に誘導されました。--まだ障害物も50キロ指定もやってない……途中終了だ……
指定された地点で試験車を停め、停車手順を済ませる前走者くん。
「では、運転席代わってください」
とうとう、店長の番です。仮免許技能試験、採点開始。
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